植物の生活史と繁殖生態学

2010年 10月 16日

大原雅(北海道大学教授)
A5判・上製本・208頁
定価(本体2800円+税)
ISBN978-4-905930-42-6
2010年3月25日

[まえがき]より
著者がこれまで担当してきた一般教養の生物学や学部の生態学の講義ノートの一部をまとめたものである。ありがたいことに,著者が現在北海道大学の高等教育課程(教養課程)で担当している「基礎生物学II」は,学生の講義評価(基礎科目)でナンバー・ワンに選ばれた。……学生たちから毎年高い評価を受けていることは大変嬉しく思っている。

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学生の講義評価ナンバー・ワン!
 植物の種を「生きた実態」として認識する生活史研究は1960年代に芽吹き,多様な環境に生育するさまざまな種を対象に,個体群生態学,繁殖生態学,数理生態学などの側面から数多くの研究が展開されてきた。そして,近年の分子生物学の進展は,繁殖生態学の分野において,画期的な遺伝解析を可能にしてくれた。しかし,「解析技術の進歩が,それすなわち学問の進歩ではない」。分子マーカーを用いた高度な遺伝解析から得られた繁殖にかかわる情報は,複雑な生育環境のもとで世代を重ねて維持される個体群に関する多面的情報と統合されることで,初めて生活史の核心に迫る知見として生きてくる。
 本書には,繁殖生態学を核として,植物の生活史を理解するための個体群生態学の必要性と生態遺伝学の応用性が具体的に解説されている。また,環境保全や自然保護における生活史研究の果たす役割の大きさ,そして生活史研究から芽吹いた環境教育の試みも紹介されている。

目 次
1章 生命の連続性と生物の多様性
1-1 地球の誕生
1-2 生命の誕生
1-3 最初の生物
1-4 真核生物の登場
1-5 多細胞生物の登場
1-6 動物のカンブリア紀爆発(多様化)  
  Box 1-1 細胞内共生  
1-7 生物の陸上への進出と植物の多様な進化
     Box 1-2 細胞間のコミュニケーションの進化
1-8 植物における生命の連続性
  Coffee Break 河野昭一先生との出会い

2章 群集レベルの変化と多様性
2-1 群集の概念
2-2 群集の境界
2-3 群集内の種間関係
  Box 2-1 類似度の評価の難しさ
  Box 2-2 Gauseの競争排除則(competitive exclusion)
2-4 指標種とキーストーン種
2-5 群集の変化をもたらす要因
2-6 極相と撹乱

3章 植物の生活史の基礎知識
3-1 一生の長さ
3-2 繁殖回数
3-3 花の構造
  Box 3-1 花の器官形成の分子メカニズム
3-4 性表現
3-5 植物における個体性
  Coffee Break フレッド・ユーテックさんとの出会い

4章 植物の個体群構造
4-1 生命表と生存曲線
4-2 個体群の成長
4-3 個体群を調節する要因
4-4 個体群の成長と生活史戦略
4-5 ステージ(サイズ)・クラス構造
4-6 個体群動態と行列モデル
  Box 4-1 種子休眠と埋土種子
4-7 空間構造

5章 有性生殖と無性生殖
5-1 植物に見られる無性生殖
  Box 5-1 セイヨウタンポポと在来タンポポ
5-2 無性生殖の利点
5-3 有性生殖の利点
  Box 5-2 繁殖競争と性選択
  Coffee Break 島本義也先生との出会い

6章 植物の繁殖様式
6-1 自殖の有利性
6-2 自殖を避けるためのメカニズム
6-3 閉鎖花と開放花
  Box 6-1 重複受精
6-4 ポリネーション・シンドローム
6-5 結実のメカニズム

7章 繁殖様式と個体群の遺伝構造(基礎知識編)
7-1 ハーディー・ワインバーグ平衡
7-2 遺伝的多様性 
7-3 ハーディー・ワインバーグ平衡を乱す要因
  Box 7-1 ハーディー・ワインバーグの法則を適用してみる
  Coffee Break 高校時代の仲間との出会い

8章 繁殖様式と個体群の遺伝構造(解析方法編)
8-1 アイソザイム分析
8-2 父系解析(マイクロサテライトマーカー)
8-3 クローンの識別(AFLP分析)
  Box 8-1 知っておきたい基礎遺伝学用語(その1)

9章 繁殖様式と個体群の遺伝構造の解析(実践編)
9-1 多回繁殖型多年生植物:オオバナノエンレイソウを例に 
9-2 一回繁殖型多年生植物:オオウバユリを例に 
9-3 クローナル植物:スズランを例に 
  Box 9-1 知っておきたい基礎遺伝学用語(その2)
  Coffee Break 広尾町との出会い 

10章 保全生態学における生活史研究の重要性
10-1 個体群の衰退と絶滅の要因 
  Box 10-1 大規模絶滅の歴史と要因 
10-2 生育地の分断・孤立化 
10-3 種子生産数の減少
  Box 10-2 メタ個体群 
10-4 個体群構造の変化 
10-5 遺伝的劣化 
10-6 個体群の存続可能性 
  Box 10-3 分断化された個体群の保全・管理計画 

11章 生活史研究を基礎とした環境教育への取り組み
11-1 日本における環境教育の流れ 
11-2 小学校における環境教育 
11-3 教材パンフレットの作成 
11-4 野外観察会の実施 
11-5 指導書の作成 
11-6 今後の展望 
  Dessert Time 学生たちとの出会い 

引用文献 
索 引


動物園と私

2008年 12月 20日

07-e58b95e789a9浅倉繁春 著
B6判・上製・204頁
定価(本体1,500円+税)
1994年2月20日
ISBN978-4-905930-01-3 C0045

 

 
動物園の役割は,単に動物を見せる場という考え方から,種の保存・教育・研究の場へと大きく変わってきた。東京都多摩動物公園,上野動物園の園長を勤め,35年間も動物とかかわってきた著者が,パンダの人工授精,海外の動物園の視察など多くのエピソードをまじえながら,動物園の現状,問題点などを端的に述べている。 

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アシカ語を話せる素質

2008年 12月 20日

16-efbdb1efbdbce382ab中村元 著
B6判・並製・152頁
定価(本体1,214円+税)
1995年12月12日
ISBN978-4-905930-02-0 C0045

 
 

著者の中村元は新鳥羽水族館のプロジェクトディレクターとして,動物のドラマと感動をテーマに新世代の水族館の展示コンセプトを確立した。アシカのショートレーナーから始まり,水族館での飼育経験,海外取材調査中に体験した野生動物との出会いから得たエピソードなどを写真とともに紹介し,動物たちとの接し方を綴った。

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ちょっとアカデミックな お産の話

2008年 12月 20日

25-e3818ae794a3村上枝彦 著
A5判・並製・152頁
定価(本体1,500円+税)
1997年11月3日
ISBN978-4-905930-62-4 C3040
 
 

哺乳動物はどんなふうにして胎盤をつくりだしたのか,それは生命発生以来5億年といわれる長い歴史のなかで,いつ頃だったのか。また,母親と胎児の血管はつながっているわけではないのに,どうやって母親の血液で運ばれた酸素が胎児に伝わるのだろうか? 胎盤が秘めている歴史について考察し,簡略に解説している。

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万里を風と共に

2008年 12月 20日

32-e4b887e9878c北村幸房 著
B6判・上製・240頁
定価(本体1,800円+税)
1999年8月15日
ISBN978-4-905930-91-4 C0095
 
 

昭和20年8月,わずか7日間で日ソ戦争は終結した。満州にいた21歳の初年兵は,ソ連に強制連行されたが,病弱ゆえに満州に送り返された。日本に引き揚げるまでに次から次へと体験した悲惨な出来事を切々と綴った。

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学力を高める 総合学習の手引き

2008年 12月 20日

47-e7b78fe5ada6品田穰・海野和男 共著
A5判・並製・136頁
定価(本体2,400円+税)
2002年7月25日
ISBN978-4-905930-07-5 C3045
 
 

学校教育の改革の一つとして「総合的な学習の時間」が設定された。その意義・目的・方法を述べ,考える力をつける必要性を述べている。生きものとしてのヒトに戻り,原体験を獲得して,課題を発見し解決し,行動する。そんな力はどうしたら身につくのか。動植物の生態写真を多く使用し,どのように指導したらよいかの課題発見の手引きとして具体例を示している。 

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性と病気の 遺伝学

2008年 12月 20日

49-e981bae4bc9d 堀 浩 著
A5判・並製・200頁
定価(本体2,200円+税)
2003年3月20日
ISBN978-4-905930-89-1 C3045
 
 

「性はなぜあるのか」,「性はなぜ二つしかないのか」,「性染色体の進化」,「遺伝病の早期発見」など,具体的なテーマを示して,遺伝学の面白さ・奥深さへと著者は導く。ヒトの遺伝的性異常・同性愛・遺伝と性・遺伝と病気など,誰もが関心のある話題が取り上げられており,生命倫理について考えさせられる内容に満ちている。

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生物にとって自己組織化とは何か

2008年 12月 20日

―群れ形成のメカニズム―

S. Camzine et al. “Self-Organization in Biological Systems”
松本忠夫・三中信宏 共訳
A5判・上製・560頁
定価(本体6,800円+税)
ISBN978-4-905930-48-8 C3045
2009年4月1日

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日本語版への序文

 自己組織化と呼ばれる現象を目にすると,驚嘆を通り越してむしろ衝撃すら覚えます。きわめて複雑でかつ高度なつくりをもつ構造が,トップダウン的な影響をまったく受けずに,完全にボトムアップ的に生じるという学説は,一見すると私たちの直感とまったく相いれないように感じられるのも無理はありません。しかし,自己組織化は,森羅万象を見る私たちのものの見方を変えただけではありません。それは,いつでもどこでも生じ得るからこそ,生物学にとって無視できない重要な現象なのです。本書が革命的であるとしたら,その理由はまさにここにあります。
 自己組織化が直感的に信じられないのはなぜでしょうか。たいていの場合,私たちが初めて経験する組織化された構造とは,人間社会に見られる集団です。そして,そのような集団では,組織の大部分は階層的な構造をもっていて,しかもその構造を維持する情報や指令は大所高所に立つ指導者から下々の人間に向かって発せられています。本書での問題提起は,生物界を広く見渡すと,適応の観点から見たときに重要な意味をもつ高次のパターンは,集団のメンバーの間に働く純粋に局所的な相互作用によって生じるということです。自己組織化がもたらす利益の1つは,情報を得るのに最適な位置を占めているたいてい局所的に存在するエージェントであるということです。しかし,彼ら局所的エージェントはシステム全体を見渡しているわけではなく,また彼らが従事している作業が「大域的」なパターンのどの部分に貢献しているのかを知っているわけでもありません。
 自己組織化に関する理論的研究は,ベロウソフ−ジャボチンスキー (BZ) 反応に始まります (プレート1参照)。この有名な反応は,最初は誰もが疑ってかかりました。実際,BZ反応が発見されてからそれが発表されるまでには,何年もの年月が必要だったのです。BZ反応では,分子の混合物が互いに反応することによって,大域的パターンが時空的に形成されていきます (プレート1)。このBZ反応が確かに生じていることが受け入れられると,一人の先駆者がこの反応 (および関連する他の現象) に関する理論的研究を開始しました。その先駆者とは後年ノーベル化学賞を受賞した Ilya Prigogine でした。自己組織化についてのこれら先行研究が後に生物学に適用されるようになったのですが,そこでの真のパイオニアと呼べるのは Prigogine が指導した最後の大学院生 Jean-Louis Deneubourg でした。
 動物の社会に見られる自己組織化は見事なものです。そこでは,多くの局所的な相互関係を実際に目撃できるので,比較的容易に定量的な分析を実行することが可能です。さらに,アリやハチのような生物群では実験的な操作を行うこともできます。群全体をあるいはその一部分をばらばらにして,別の条件のもとで再び合体させるという操作ができるということです。これらの特徴をうまく活かした一連の実験と数理モデリングを行うことにより,説明仮説の仮定と予測をともに厳密にテストすることが可能になります。このようにして,採餌システムの構築や最短路の探索,軍隊アリの襲撃パターンの形成,そして群レベルでの同期化や温度調節,さらには建設行動の制御などさまざまな生物現象が自己組織化の観点から研究され,局所的な相互作用からどのようにして集団レベルのパターンが生じるのかがより詳しくわかってきました。
 自己組織化を踏まえたこのアプローチは,別の観点からの関心をも惹きつつあります。それは,自己組織化がある種のロボティクスとみなせるだろうという見解です。きわめて多くの自律的なロボットは,たとえ一つひとつのもつ情報獲得能力が局所的に限られていてしかも高性能ではないとしても,ロボット集団として見たときにある作業を遂行しています。このことは,伝統的なロボティクスの理論ではうまく説明できませんでした。なぜなら,これまでのロボティクスの理論は,すべての作業を各ロボットが完全に遂行できるという高性能かつ万能のロボットを前提としていたからです。
 本書の著者の一人として,この翻訳書を手にするすべての日本人読者のみなさんが,本書で述べた生物学の事例とそれを記述する数理モデルからインスピレーションを得ることを期待しています。そして,自己組織化という新しい,魅力ある,そして進展の著しい科学領域のおもしろさをぜひ分かち合いましょう。

                     Nigel R. Franks
                     ブリストル大学生物科学部教授

目 次

日本語版への序文
カラープレートの説明
カラープレート
プロローグ 本書の目的と意図

Part I 生物自己組織化の概論
   
1 自己組織化とは何か
自己組織化の定義
群れ活動におけるパターン
生物学における自己組織化
   
2 いかにして自己組織化が働くか
正のフィードバックと負のフィードバック
どのようにして生物は情報を獲得し,それに基づいて活動するか
正のフィードバック,スティグマジー,ゆらぎの増幅
要 約
Box 2.1 負のフィードバック,正のフィードバック,そしてゆらぎの増幅
    
3 自己組織化システムの特徴
自己組織化システムはダイナミックである
自己組織化システムは創発的特性を示す
パラメーターのチューニング
生物学的および物理学的パラメーター
自己組織化における創発的特性の意義
単純な規則,複雑なパターン —— パラドックスへの回答
Box 3.1 ベナール対流
Box 3.2 ロジスティック差分方程式の成長率パラメーターをチューニングする
Box 3.3 ドミノ倒し:パラメーターのチューニングの例として
    
4 自己組織化に代わる説明
秩序を生む別の道すじ
リーダー,青写真,レシピ,テンプレート
自己組織化に代案で説明できる生物例
自己組織化に関係するアイデア
要 約
    
5 なぜ,自己組織化か
自己組織化か,それ以外の手段か
要 約
    
6 自己組織化の研究
実験的な研究 
厳密なモデルの定式化
自己組織化されたシステムの特定のモデル
それぞれのモデルの長所と短所
Box 6.1 セル・オートマトンモデル —— その内容と実例
Box 6.2 StarLogo —— 分散化された過程をシミュレートするプログラム言語
    
7 自己組織化についての誤解

Part II 事例研究
       
8 粘菌とバクテリアにおけるパターン形成
単細胞生物におけるパターン形成
多細胞集合の適応的意義
自己組織化に代わる案
キイロタマホコリカビにおける集合の生物学的基盤
キイロタマホコリカビにおけるパターン形成のモデル化
cAMPへの応答としての細胞運動のモデ
Box 8.1 モデル方程式の導出
Box 8.2 キイロタマホコリカビにおけるcAMPラセン波のシミュレーション
    
9 穿孔性昆虫の摂餌集合
集合プロセスへの導入
キクイムシの幼虫による摂餌集合の適応的意義
エゾマツオオキクイムシの集合形成のモデル
シミュレーションの結果
モデルの検討
要 約
自己組織化パターン形成に代わる説明
外部の目印と自己組織化の間の相互関係
    
10 ホタルの同調発光
リズミカルな同調発光
同調的でリズミカルな発光の適応的意義
メカニズムに関する初期のいくつかの仮説
個体の発光の神経生理
連結した発振器に基づいたモデル
自己組織化過程としての発光同調化
Box 10.1 人間における同調化の実証
Box 10.2 他の生物に見られる時間的パターン

11 魚の群れ
群れの行動
魚の群れ行動の適応的意義
群れの中における個体の行動
群れ形成メカニズムを説明する対立仮説
自己組織化に基づく群れ形成のモデル
Box 11.1 魚の群れのシミュレーション
    
12 ミツバチによる蜜源の選択
コロニー・レベルでのパターン
個体レベルでのプロセス
採餌バチと未稼働バチ
採餌バチの資源分配における集合的な知恵のモデル
数式モデル
このモデルのテストと使用
    
13 アリにおける蟻道形成
野外での蟻道形成
実験室における蟻道形成
蟻道パターンの適応的意義
蟻道形成中の個々のアリの行動
動員を通しての集団的な意思決定のモデル
2つの食物源の良いほうを選択する
最短路の選択
結論:アリとミツバチにおける動員
Box 13.1 収穫アリにおける自己組織化された蟻道の巡回探索
    
14 軍隊アリの集団襲撃
はじめに
集団襲撃の集合構造
軍隊アリ襲撃の適応的意義
個体行動における基礎
軍隊アリの集団襲撃の自己組織化
このモデルの結果
ある批判
進化的意味
結 論
    
15 ミツバチにおける巣の温度調節
巨視的に見れば
微視的に見れば
観察は自己組織化説を支持している
温度調節の自己組織化モデル
このモデルについてのコメント
Box 15.1 ハインリッチの実験技術
    
16 ミツバチ・コロニーの巣板パターン
コロニーレベルのパターン
巣板パターンの適応的意義
パターン形成を説明する対立仮説
パターン形成の生物学的基盤
個々のミツバチの行動
自己組織化モデル
他のモデリングのアプローチ
セル・オートマトンモデル
微分方程式モデル
モデルの結果
わかったこと
システムの撹乱
将来に向けての課題
    
17 アリによる壁づくり
はじめに
Leptothorax属の巣の構造
巣壁の適応的機能
どのようにして巣壁は建設されるか
巣の大きさの制御
壁形成についての基本モデル
議 論
   
18 シロアリの塚づくり
はじめに
オオキノコシロアリの巣の構造
建設活動
自己組織化とテンプレート
モデルをつくる
増幅と競争
議 論
    
19 狩りバチ類における建設アルゴリズム
はじめに
狩りバチ類の巣の構造
巣のデザインの進化
巣の建設を説明する対立仮説
アシナガバチの建設活動の動態
個体の建設規則
格子−群れモデル
質的スティグマジー・モデルの検証
自己組織化に代わる対立仮説としての質的スティグマジー
    
20 アシナガバチ類における順位制
はじめに
社会的優位と繁殖的優位
順位の形成とその特徴
優位性を決定する要因
順位制の適応的意義
優位性モデルの目標
モデル1: 自己組織化
モデル1の結果
モデル1に対する批判
モデル2
両モデルに関する議論
モデル1の他動物への適用
結 論
Box 20.1 モデル1の仮定
Box 20.2 個体の認識を伴うモデル1
Box 20.3 モデル1のモンテカルロ・シミュレーション
Box 20.4 モデル2の仮定
Box 20.5 モデル2のモンテカルロ・シミュレーション
   
Part III 結 び
      
21 教訓と展望,そして自己組織化理論の将来
何が示されたのだろうか
何を学んできたのだろうか
なぜ自己組織化が重要なのだろうか
将来への展望

注 4
引用文献
訳者あとがき
人名索引
事項索引


擬態の進化

2008年 12月 20日

擬態の進化
−ダーウィンも誤解した150年の謎を解く−

大崎直太 著
A5判・上製・288頁
定価(本体3,000円+税)
ISBN978-4-905930-25-9 C3045
2009年4月22日

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擬態進化の解明は進化生態学発展の柱である。性淘汰は雌雄の形態が異なる性的二型を説明する進化理論として,ダーウィンによって提案された。本書は擬態進化の研究史を綴っている。その中で,筆者自身によるベイツ型擬態における性淘汰の否定と,鳥の最適採餌戦略やチョウの体温調節機構が擬態種の性的二型の要因とする最新の研究を,エピソードを織り交ぜながら紹介している。擬態研究の世界的な流れがよくわかる書である。

目 次

序章 ベイツ型擬態の波紋
ベイツ型擬態とアマゾン
ベイツ型擬態とは
ベイツ型擬態と『種の起源』
『種の起源』への反論
ベイツ型擬態が『種の起源』に与えたもの
ベイツ型擬態の2つの謎と性淘汰
ベイツ型擬態とミューラー型擬態:頻度依存淘汰
ベイツ型擬態のモデルの警告色と血縁淘汰
ベイツ型擬態における性淘汰仮説のその後
擬態研究の現在
 Box 0-1 ヘリコニウス科の分類学的位置

1章 ベイツの時代と進化論
ダーウィン以前の進化論
ダーウィンの出現
ベイツ南米に行く
ウォレスのサラワク論文
ウォレスのテルナテ論文
『種の起源』の出版
オックスフォード大学自然史博物館での大討論
ベイツ型擬態の発表
メスしか擬態しないベイツ型擬態種
Xクラブとネイチャー
進化と適者生存

2章  ベイツ南米の旅
ベイツとウォレスの出会い
職工学校
ベイツ・ウォレス記念碑
アマゾン学術探検の夢
アマゾンの旅とヘリコニウス科のチョウ
アマゾンでの暮らし
2人の帰国
帰国後の2人

3章 なぜメスだけが擬態するのか
メスだけが擬態するチョウと性淘汰
性淘汰とは
ベルトの主張
メスのチョウも複数回交尾する
性淘汰の仮説と検証
異性間性淘汰のメカニズム
ランナウェイ学説
ハンディキャップ学説
その他の性淘汰
オスによる同性内性淘汰仮説
擬態するのはメスだけではない

4章 なぜ一部のメスだけが擬態するのか
頻度依存淘汰
ミューラーのブラジル移住
ミューラー型擬態と正の頻度依存淘汰仮説
 Box 4-1 ミューラーの正の頻度依存淘汰モデル
ベイツ型擬態と負の頻度依存淘汰仮説
負の頻度依存淘汰仮説の野外検証
ベイツ型擬態種は寄生者か
 Box 4-2 擬態種がモデルに与える効果実験
負の頻度依存淘汰:タカとハト
 Box 4-3 タカ−ハトゲーム
タカとハトとブルジョア
 Box 4-4 タカ−ハト−ブルジョアゲーム

5章 警告色の進化
派手な目立つ色の意味
利己的と利他的
血縁度と適応度
血縁淘汰と包括適応度
緑ひげ効果
個体淘汰と群淘汰
隠蔽色と警告色の効果

6章 ベイツ型擬態の謎
ベイツ型擬態との出会い
オスはメスの犠牲者か  
ビーク・マーク
ビーク・マークの示すこと
なぜメスだけが擬態するのか:擬態のコストとベネフィット
なぜ一部のメスだけが擬態するのか:擬態のコストとベネフィット
論文投稿後にわかったこと
ビーク・マークの5つの疑問
擬態率の決定メカニズム
 Box 6-1 ビーク・マーク率比モデル

7章 性淘汰仮説に対する疑問
異性間性淘汰仮説の否定
シロオビアゲハの交尾実験
伊丹市昆虫館
オスがメスを選ぶ
同性内性淘汰仮説
レビューアー
それでも地球は回っている
擬態のコストは何か
翅の模様の意味
擬態型メスは交尾の際に不利を被ってはいない

8章 擬態のコスト
擬態型は生理的寿命が短い
赤い斑紋が多いメスはなぜ寿命が短いか
擬態のコストと擬態率
 Box 8-1 ハーディー−ワインベルグ法則
野外での寿命
シロオビアゲハの擬態型
性的二型再考
ベイツ型擬態は両性が擬態する

9章 メスだけが擬態する種と両性も擬態する種
カカメガの森
イシペ(国際昆虫生理生態学センター)
チョウの同定
森での生活
森での調査
大きな種ほど敏捷に高い空間を飛ぶ
大きな種のメスほど鳥に襲われる
オスに偏った捕獲性比を説明する3つの仮説
なぜある種はメスだけが擬態して,別の種は両性が擬態するのか
メスだけが擬態する種と両性が擬態する種の違い
生物の体の大きさ

10章 メスの捕食圧が高い理由
鳥にとっての餌の価値
餌選択モデルの検証
 Box 10-1 餌選択モデル
擬態と餌選択モデル
認知モデルの検証
 Box 10-2 認知モデル
探索像 
擬態と探索像

11章 チョウは寝込みを襲われる
チョウの体温調節機構
体温調節機構との出会い
野外調査の成果は調査地に依存する
ボルネオ,ビンコールの森
森の生活
熱環境の計測
論文の行方
白いチョウの体温は高く黒いチョウの体温は低い
チョウの体温調節機構と捕食圧
チャレンジャー教授の叫び

12章 ベイツ型擬態の謎の帰結
モデルなき擬態はありえない
擬態はどのようにして進化したか
擬態を見破る捕食者の進化はないのか
なぜ多くの種が擬態しないのか
ツマグロヒョウモンはベイツ型擬態種か
帰無仮説
代替仮説
擬似相関

13章 仮説の提言と検証
至近要因と究極要因
代替仮説再考
擬似相関再録
良い研究とは
仮説の提言と検証
発 想
序論の構造
そんなはずはない
ベイツ型擬態研究の帰結

あとがき
参考文献
索 引