カミキリ学のすすめ

74 カミキリ

新里達也(編著)
槇原 寛・大林延夫・高桑正敏・露木繁雄(著)
A5判・上製本・320頁
定 価(本体3,400円+税)
ISBN978-4-905930-26-6
2013年9月20日
         
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カミキリムシを丸ごと楽しめる
             
 長い触角と鋭い大腮が印象深いカミキリムシ,日本名では“髪切り虫”,英名では長い角をもつ甲虫longicorn beetlesとして親しまれています。カブトムシなどとともに甲虫類の仲間で,ゾウムシ,ハネカクシに次いで多くの種が知られ,日本では約750種が記録されています。その種多様性もさることながら,豊かな色調と変化にとんだ形態や造形から多くの人々の心をとらえ,研究や趣味の対象とされてきました。
 本書には,カミキリ研究の四方山話が綴られています。分類や分布,生態などの正統な生物学の分野に留まらず,フィールド調査の醍醐味や,カミキリ屋と呼ばれる虫を愛する人々の習性にまで言及しています。カミキリ研究の熱意や意気込みが存分に伝わってくる,プロ・アマ区別なくカミキリムシを楽しめる書です。

      
目 次

序章 カミキリ学のすすめ (新里達也)
0-1 身近なカミキリムシ
0-2 名前の由来
0-3 カミキリムシの分類
0-4 類縁の近いハムシ
0-5 生活史
0-6 植物との共進化
0-7 植物との攻防
0-8 興味深い生物地理
             
                              
1 ハナカミキリの話 (大林延夫)
1-1 はじめに
1-2 ハナカミキリの起源
1-3 私のカミキリムシ研究
1-4 カミキリムシの分類体系
  科と亜科の分類
  ハナカミキリ亜科の族の分類
  後翅の翅脈と族の分類
1-5 属の分類と雄交尾器
  分類形質としての雄交尾器
  雄交尾器の研究
1-6 属の分布から見たハナカミキリの歴史
  祖先的な形態的特徴を残しているグループ
  ヒラヤマコブハナカミキリ属
  テツイロハナカミキリ属
  ハイイロハナカミキリ属とアラメハナカミキリ属
  ヒメハナカミキリ属
  ハナカミキリ族のさまざまな属
  東洋区のハナカミキリ
  ウォーレシアのハナカミキリ
1-7 ハナカミキリではなくなったカミキリムシ
  ニセハナカミキリ亜科
  キヌツヤハナカミキリ族
  ホソコバネカミキリ亜科
1-8 ハナカミキリの話題
  よつすじ紋をもつハナカミキリ
  ヤクシマヨツスジハナカミキリ
  ヨツスジハナカミキリ属
  クロオオハナカミキリ属
  エトロフハナカミキリ属とカタキハナカミキリ属
  ヨスジホソハナカミキリ属
1-9 おわりに

       
2 ムナミゾアメイロカミキリの分類学 (新里達也)
2-1 出会い
  満開のカシの花
  オブリィウム
2-2 研究事始め
  ムナミゾアメイロカミキリの仲間
  珍品のカミキリムシ
  日本における研究史
2-3 風変わりな形態と習性
  奇妙な雄交尾器
  特殊化が著しいメダカカミキリ属
  さまざまな産卵行動
  卵の隠蔽と熊手状器官
  産卵行動の進化
  スネケブカヒロコバネカミキリ
2-4 熊手状器官をもたない異端児
  メダカアメイロカミキリ属の創設
  風変わりなナカネアメイロカミキリ
2-5 台湾とゆかりのある謎の2種
  長崎市愛宕山の謎のオブリィウム
  佐渡のウスゲアメイロカミキリ
  ウスゲアメイロカミキリとシリグロアメイロカミキリは同種か
  都内で発見されたシリグロアメイロカミキリ
2-6 ヒゲナガアメイロカミキリの住む迷宮
  ベーツが記載した謎のオブリィウム
  研究者の混迷
  林 匡夫による再記載
  分布疑問種の烙印
  存在の再認識
  ロンドン自然史博物館
  タイプ標本の精査
  期待される再発見
2-7 サドチビアメイロカミキリの正体
  サドチビアメイロカミキリとツシマアメイロカミキリの関係
  日本周辺にも分布するツシマアメイロカミキリ
  日本国内のツシマアメイロカミキリの変異
  黒いムナミゾアメイロカミキリの理由
  サドチビアメイロカミキリの真の正体
  佐渡のサドチビアメイロカミキリを求めて
2-8 本州中部から発見されたエゾアメイロカミキリ
  日本新記録のムナミゾアメイロカミキリ
  エゾアメイロカミキリの繁殖戦略
  群馬県上野村でエゾアメイロカミキリが採れた
  扉温泉から記録された謎のムナミゾアメイロカミキリ
  幼虫の探索
  続く成虫の探索
  執念の成虫採集
2-9 オブリィウム研究はまだ続く
               
               
3 熱帯降雨林のカミキリムシ (槇原 寛)
3-1 カミキリムシとの出会い
3-2 1998年ブキットスハルト ― 全ての始まり ―
  エルニーニョ南方振動現象による極度の乾燥
  トラップの設置
  文献が届かない
  山火事
  森林火災の原因
  燃え残った木で虫採り
  ヘビが出る
  暴 動
  石炭火消火
  サマリンダ大洪水
  花に集まるカミキリムシ
  ライトトラップ
  マレーズトラップ
  吊り下げ式トラップ
  自然物を利用しての採集法
  激動の1年のまとめ
3-3 ブキットバンキライ天然林
  ブキットバンキライの概要
  ブキットバンキライの調査
  ブキットスハルトのカミキリムシ目録
  火災後に異常な個体数増減を示すカミキリムシ
  海に出る
  近隣地域との類縁性
3-4 新たな展開
  再びサマリンダへ
  応用研究の始まり
  CDM試験林の調査
  再びブキットスハルト
3-5 おわりに
           
             
4 非武装地帯の崩壊がコブヤハズ群にもたらしたもの (高桑正敏)
4-1 はじめに
4-2 コブヤハズカミキリ群の属種たち
  属の系統関係は不明
  属種の奇妙な分布
  成虫越冬という生活史
  食性の知見
4-3 非武装地帯の崩壊
  「非武装地帯」説の台頭
  ハイブリッド集団の発見
  奥裾花渓谷における非武装地帯の消滅
  奥裾花渓谷の現在
4-4 謎だらけの「黒紋コブヤハズ」
  「黒紋コブヤハズ」は本当にハイブリッド?
  「黒紋コブヤハズ」が発現する条件
  人工的に作り出された黒紋コブヤハズ
  「無紋コブヤハズ」とは
  「無紋マヤサンコブヤハズ」とは
  黒紋コブヤハズが出現した年代
4-5 八ヶ岳における2種の攻防
  信じられない思い
  28年後の敗退
  ハイブリッドゾーンの発見
  進出のバリアーとなっている林道
  かつての非武装地帯と今後の課題
  拡大造林政策がもたらしたもの
4-6 コブヤハズ類の攻防が語るもの ―種とは何か―
  相転移説
  遺伝的な観点と分布・形態的な観点
  最終氷期最盛期以降を考える
  地史的な時代に交雑はあったか
            
                  
5 カミキリムシとの出会いと発見史 (露木繁雄)
5-1 カミキリムシとの出会い
5-2 思い出のカミキリたち
  モモグロハナカミキリ
  ヒメヨツスジハナカミキリ
  カエデノヘリグロハナカミキリ
  カスガキモンカミキリ
  ヨコヤマトラカミキリ
  キョクトウトラカミキリ
  エトロフハナカミキリ
  ホソコバネカミキリ類
  ネキダリス番外編
  マダラゴマフカミキリ
  ジュウニキボシカミキリ
  クロツヤヒゲナガコバネカミキリ
  カノコサビカミキリ
  ムネマダラトラカミキリ
  ヒラヤマコブハナカミキリ
  フトキクスイモドキカミキリ
  フタスジカタビロハナカミキリ
  ベーツヒラタカミキリ
  イボタサビカミキリ
  オトメクビアカハナカミキリ
  ムナコブハナカミキリ
  トゲムネアラゲカミキリ
5-3 虫屋との出会い
  草間慶一さん (1924~1998)
  西川協一さん (1936~2000)
  甲虫談話会の大先生方
  私と同年代および私より若いカミキリ屋さんたち

引用文献
本書に登場するカミキリムシの和名・学名一覧
事項索引

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